給与計算の基礎をわかりやすく解説~雇用保険料編~

先日ブログ、給与計算の基礎をわかりやすく解説~社会保険料編~では、社会保険料の計算の仕方について解説しました。

今日は、雇用保険料の計算の仕方について解説します。

雇用保険料の計算の仕方

令和3年度の雇用保険料率は事業の種類によって決まっています。

以下の資料から詳しくはご覧いただけます。

出所:厚生労働省 令和3年度の雇用保険料率について

今回のブログでは、「一般の事業」を例に解説していきます。

  • 全体の料率:9/1000
  • 労働者負担:3/1000
  • 事業主負担:6/1000

となっています。事業主の負担が多いですね。

この、労働者負担分の3/1000つまり、0.003をまずは覚えておきましょう。

<雇用保険料の計算>

給料の総支給額×0.003=控除する雇用保険料です。

具体例で説明します。

  • (例)
  • 基本給  200,000円
  • 職務手当  20,000円
  • 通勤手当  4,200円
  • 残業代   8,000円
  • 総支給額 232,200円
  • 232,200円×0.003(労働者分の雇用保険料率)=696.6円←雇用保険料

雇用保険料は、毎月の総支給額にかけて計算します。

だから、給料の総額が毎月変わると、雇用保険料も毎月変わります。

社会保険料の時は、「標準報酬月額」で計算します、って言いましたね。

ですから、社会保険料の計算では、総支給額に社会保険料率をかけるのは×です。

でも、雇用保険料の計算には、そういう「標準報酬月額」みたいなものはありません。

端数処理の仕方

先ほどの例で、雇用保険料は「69.6円」となりました。

この端数処理は、切り捨てるのでしょうか?切り上げるのでしょうか?

実はルールがあります。

被保険者負担額に1円未満の端数が生じた場合には、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(昭和62年法

律第42号)」第3条という法律があって、それに基づくと、

50銭未満の端数があるときには切り捨て、50銭以上1円未満のときには切り上げること

となっています。

ただし、これらの端数処理の取扱いは、労使の間で慣習的な取扱い等の特約がある場合にはこの限りではない

となっています。

例えば、従来切り捨てで計算されていた場合は、引き続き同様の取扱いを行ったとしても差し支えはありません。

ですから、慣習的な取り扱い等が無ければ、今回の場合「69.6円」ですから、切り上げて70円になります。

まとめ

社会保険料より、少しわかりやすいかもしれませんね。

ただ、毎月のお給料の額で計算するので、毎月雇用保険料も変わるのでその点注意ですね。

給与計算のシステムを導入していれば、自動で計算するようになっていますね。

ただ、雇用保険料率は、変更になる場合があります。

(来年は、10月から料率がアップされるかも、というニュースが出ていましたね。どうなるのでしょうか??)

その時、給与計算のシステムで保険料率の確認は忘れずに行いましょう。

変更されていなくて、何年も昔のままの料率で計算していたってことになると、

さかのぼって計算して、差額を社員に還付したり、追加徴収したりすることに…もう泣きそうです。。。

そんなことにならないよう、保険料率はきちんとチェックしておきましょう。

雇用保険料の改定は、年度代わりに厚生労働省やお住まいの地域の労働局のホームページ等で公開されます。

忘れずに確認して下さいね。