無礼な社員が及ぼす会社への悪影響
ずいぶん前の話しになりますが、「3年B組金八先生」という武田鉄矢さん主演のドラマがありました。
視聴率もものすごくって、大ヒットしたドラマですね。
その中であった有名な話しに「腐ったミカン」というものがありました。
箱の中に一つの腐ったミカンがあると、他のみかんにも腐敗が広まることから、一人の不良少年が全体に悪影響を与えることを表現したもの
引用:weblio辞書
これは、職場においても同じことが言えます。
人はポジティブな影響より、ネガティブな影響を受けやすい傾向にあります。
今まで、とっても雰囲気のいい職場で、みんなが協力して仕事をし、社長や上司の指示にも素直に受け入れていた職場が、無礼な人が一人入ってきたことで、職場の雰囲気が悪くなり、ギスギスした雰囲気になり、トラブルも増えた、ってことはよくあります。
『Think CIVILITY(シンク・シビリティ)「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』クリスティーン・ポラス氏が書いた10万部以上のベストセラーになった書籍があります。
その中に、「無礼な人は会社に損害をもたらす」として、こんな記述があります。
職場で誰かから無礼な無礼な態度をとられている人について次のようなことが言えると分かった。
48パーセントの人が、仕事にかかる労力を意図的に減らしている。
47パーセントの人が、仕事にかかる時間を意図的に減らしている。
38パーセントの人が、仕事の質を意図的に減らしている。
(中略)
66パーセントの人が、自分の業績は低下していると答えている。
78パーセントの人が、組織への忠誠心が低下したと答えている。
(中略)
無礼な人は周りの思考能力を下げる
無礼な人は周りの認知能力を下げる
これは、本の中に記載されていいる一部です。
今まで、とても雰囲気がよく、生産性も高かった組織が、たった一人無礼な人が入社したばかりに、会社に損害をもたらします。
無礼な人とはどんな人
では、無礼な人とはどんな人のことでしょう。
例えば、
新たに入社した社員が取引企業先の担当をすることになり、これまで担当していた社員と一緒に挨拶に行くことになりました。
その時に通された部屋に、これまで担当していた社員よりも先に新入社員が入っていく。 人に何かをしてもらったときに「ありがとう」を言わない。 人に迷惑をかけたときに謝らない。 相手が気にしていることを平気で指摘してくる。 自分が正しいと思っていて、他社のアドバイスを受け入れない |
など、上げるといろいろありますね。
トラブルが社内だけではなくて、社外でもトラブルを起こし、取引先からもクレームが起こるようになり、信用もガタ落ちになったりします。
だからといって、日本の制度では、簡単に解雇が出来ないのです。
解雇が有効とされるためには、改善の機会を与えなければならず、これまでの判例からすると、改善の機会として少なくとも2回の配置転換が必要と思われます。
でも、中小零細企業だと配置転換するような部署もない、といった現実もあります。
そうなると、ますます解雇が難しく、事態を改善させることが極めて難しくなります。
では、どうしたらいいか?
無礼な人を採用しないための2つのポイント
無礼な人を採用しないようにすることが大切です。
無礼な人って、仕事の能力は高かったり、面接での受け答えが上手だったりして、面接した人の心をぐっと掴むことがあります。
それには、ポイントが2つあります。
・面接時の質問で無礼な人かどうかを見極める
・面接の場以外の行動を見る
面接時の質問で無礼な人かどうかを見極める
面接時の質問の仕方が大事です。
先ほどの本にはこのように書いてあります。
「仮定の質問は避けたほうがいいだろう。それより、過去に実際に起きた出来事にその人がどう対処したかを尋ねるべきだ。」といったことが書かれています。
仮定の話しはなんとでも言えますね。
例えば、過去に自分が最も印象に残った出来事は何か?それはなぜか?とどんどん深堀していくと、その人の考え方もわかりますし、もしなぜ?なぜ?で質問していって、回答に困るようだと事実ではないかもしれませんね。
その人の過去に行った言動が、企業理念や企業文化に合っているかをよく確認することが必要です。
面接の場以外の行動を見る
また、面接官の前では礼儀正しくしていても、そのほかの場面では無礼な態度をとっていることもあります。
車で来たときは、玄関先を外して駐車しているか、車はきれいに洗車されているか、傷がついた車両をそのまま放置していないか?
途中であった社員や、お茶を出した社員への態度はどうだったか、なども確認するといいですね。
ジャニーズ事務所を立ち上げた、ジャニー喜多川さんが、清掃員の格好をして、面接を待っている人たちを観察していた、といった話しも有名ですね。
人って、そういう何気ない時や、普段の姿に本当に姿が見えるものです。
まとめ
一度無礼な人を採用してしまったら、簡単に辞めさせることは出来ません。
経営者や上司も対応にとても時間をとられてしまいます。
もちろん、仕事をするうえで、技術的な面や、地頭の良さも必要でしょう。
でも、それ以上に大切なのは礼節があるかどうかです。無礼な人でないかどうかです。
無礼な人を、礼節のある人に教育するのは、なかなか容易ではありません。
無礼な人は、自分は正しいと思っているし、無礼なことをしているという認識がありません。
認識がないことを改善させることほど人材育成で難しいものはありません。
でも、人材不足で、どうしても採用しないと仕事が回らない、となるとちょっと気になるところがあっても採用してしまったりします。
でも、無礼な人を採用すると、会社に損害を与えてしまうわけですから、採用しないほうがまだマシかもしれません。
採用基準に達しない人を、欠員補充で採用しなくてもいいように、採用計画を立てておきましょう。
そして、面接や面接以外の言動でしっかりと見極めて、うっかり無礼な人を採用しないようにしましょう。