育成は上司の力量が影響するのか?
昨日のブログ『相撲界の人事制度を考察して見えてきた、人事制度で大事な考え方とは』で、大関の正代関が「カド番」になったことを書きました。
「カド番」の場所で負け越すと、大関を陥落してしまう場所のことです。
解説の方や、ネット記事を見ると、一様にこう仰っています。
- 稽古不足
- 取り口がすべてが同じこれを変えればいけない
- 腰が高い
それを聞いて私は、それって所属する親方もわかっているだろうから、どうしてしっかり指導しないんだろう、親方何やっているのよ!なんて思っちゃいました^^
横綱照ノ富士は、今こそ強い横綱として一人横綱の責任を果たしているわけですが、
大関昇進後に怪我や病気による負け越しや休場が続いて、2018年に一度西序二段48枚目まで陥落したことがあります。
相撲界の6階級で言うと、下から二番目の「序二段」です。
何度もやめたいと思い、親方にもそのように言ったことがあるそうですが、親方が励まし、そして稽古に稽古を重ね、そこから大関復帰・横綱昇進を果たしました。
こういう話しを聞くと、やっぱり指導者の力量が大きく影響するんだなあと思ってしまいます。
今年の箱根駅伝で優勝した青山学院の原監督しかり、
プロ野球で昨年日本一に輝いた我らが東京ヤクルトスワローズの高津監督しかり、
監督の手腕によって、チームは強くなります。
では、指導者の手腕や技量だけで、みんな変わって、成長するのでしょうかか?
実はそうばかりではないように思います。
指導をする前に本人の意志確認をしていますか?
私はこれまで、幼稚園で幼児教育に携わったり、病院やコールサンターで仕事をしていた時、今までの社会人経験の中で、指導する立場にいたことが多くありました。
そこで、上手く指導できず育成に失敗したこともありました。
相手の気持ちを理解できず、こちらから一方的に指導したことが要因です。
なんだか指導を受けている相手側との温度感の差を感じていました。
そこで、いくつもの指導経験から私なりに気づいたことがあります。
それは、指導を受ける側に、成長したい、変わりたいといった気持ちがあるかどうかはとても大事、ということです。
先ほどの、照ノ富士の話しでも、照ノ富士が親方の指導を受けて、もう一度上を目指したい、強くなりたいという気持ちがあったから、復活を果たし、横綱まで上がることが出来たと思います。
でも、意志確認をすると、「現状のままでいいです」「別に変わらなくていいです」という人がいます。
つまり、やる気がないわけです。
本人にその気がないのであれば、無理に指導するのは、逆効果で本人を苦しめることにもなりかねません。
でも、本当に指導しなければ、この人はこれから仕事していく上で苦労するだろう、ここで何とかしなければ大変なことになる、ということであれば、そのことをしっかりと伝え、本人が納得した上で、指導していくことが大切だと思っています。
それでも、本人が成長すること、変わることを望まないのであれば、よほどその変わらないことが周りの人や社会に迷惑をかけるものではない限り、諦めるしかないでしょう。
まとめ
育成は、指導する側の熱意と、指導してもらう側の意欲の両方があってこそ成り立つものだと思います。
どちらかが欠けても上手くいかないと思います。
ですから、正代関に指導力のある親方が一生懸命に指導しても、正代関にもっと稽古をして強くなりたい、今の取り口を変えたい、という意志があるかどうかです。
来場所は何としてでも勝ち越して大関の地位を守りたい、という気持ちがあるのかどうかです。
本人がそこまで望まないのであれば、無理に指導することはないのです。
本人はもっと下の地位で気楽に相撲を取りたい、もう大関はしんどすぎて…、って思っているかもしれません。
そうすると、親方の本気の指導は、正代関にとっては苦痛のなにものでもありません。
本気で育成する前に、本人にその気があるのかを是非確認されることをお勧めします。
正代関には、是非と奮起し、覚醒してくれるといいな…と思っています。
そういう気持ちにさせるのも、上司の熱意かもしれませんね。