相撲界の人事制度を考察して見えてきた、人事制度で大事な考え方とは

相撲会を人事制度の視点で考察してみたら・・・

私は、プロ野球ファンで、チームでは東京ヤクルトスワローズの大ファンです。

あと、大相撲も好きでよく観ています。

令和4年の初場所は昨日千秋楽を迎え、関脇御嶽海の優勝で幕を閉じました。

地元出身力士で私が応援している大関正代は残念ながら負け越してしまい、来場所は自身3度目になるカド番に。(…残念。)

※「カド番」については、次の章で解説します。

御嶽海は、どうやら大関に昇進するらしいです。

大関というのは、横綱の次の格付けです。

今回は、この大相撲の世界を人事制度の視点でちょっと考察してみました。

大相撲の等級はどうなっている?

大相撲には「番付」と呼ばれる階級があります。

上から

  • 「幕内」
  • 「十両」
  • 「幕下」
  • 「三段目」
  • 「序二段」
  • 「序ノ口」

の6階級に分かれています。

人事制度で言うところの「1等級」、「2等級」といった「等級」にあたるところでしょうか。

よく、まだまだ始まったばかり、といった意味で使う「そんなの序の口よ」って言ったりする「序の口」はこの大相撲の「序の口」が由来とされています。

さらに、その階級の最上位「幕内」では次のように格付けされています。

  • 「横綱」
  • 「大関」
  • 「関脇」
  • 「小結」
  • 「前頭」

人事制度で言うところの等級にある例えば6等級に「部長」や「次長」という職位でしょうか。

「前頭」は上位1枚目(筆頭)~18枚目まであります。

そして、その格付けは、どのように上がったり下がったりするかというと、勝ったか負けたかのみです。

一場所は15日間あります。

ですから8勝すると→負け越し、7勝だと→負け越しになります。

勝ち越すと、格付けが上がり、負け越すと格付けが下がります。

また、どれくらい勝ち越したか、どれくらい負け越したかで変動幅は変わります。

12勝3敗で勝ち越したのか、8勝7敗で勝ち越したのかでは、上り幅が違ってきます。

S評価だと4号俸上がって、A評価度と3号俸上がるといったイメージです。

幕内で最も下の格付け前頭18枚目で負け越すと、一つ下の階級「十両」に落ちてしまいます。

相撲界では、どのような技で勝ったのか、どんな心持で相撲を取ったのか、といったことは一切評価の対象外です。

いたってシンプルな世界ですね。

ですから、お相撲さんにとってもわかりやすいですね。

とにかく勝てば、階級が上がっていくってわけです。

企業で言うところの、売上額、とか契約数といった成果のみで評価されるってわけですね。(なかなか厳しい世界です。)

相撲界では「強い人」を重視した、人事制度です。

大関昇進基準は曖昧?

ただ、関脇から大関に昇進する基準は少々曖昧さがあります。

三役と言って「関脇」「小結」の地位に3場所連続で在位し、通算成績が33勝以上という目安があります。

これは、あくまで目安で合って、明文化されているわけではありません。

ですから、32勝で大関に昇進したりすることもあります。

例えば、今回御嶽海は3場所で33勝だったので、「昇進文句なし」といった機運がありますが、私が推している正代関は32勝で大関に昇進しました。

そうすると、今回のように大関で負け越したりすると、あーだこーだ言われてしまうわけですね。

でも、これって正代関本人のせいではないんですけどね…。

会社でも、明確な昇進(主任→課長、次長→部長)に関する基準が無く、社員からなぜあの人が…といった不満に繋がることもありますよね。

大関から降格する基準は明確

大関に昇進する目安は先ほどご紹介しました。

大関から降格する基準もあいまいなのでしょうか?

いえいえ、これには明確なルールがあります。

先ほど、正代関は来場所は「カド番」って言いましたね。

ここで「カド番」について解説します。

「カド番」というのは、「カド番」である場所に負け越すと大関から降格し、関脇になります。

大関はその場所を負け越す→次の場所「カド番」。この場所に負け越し→大関から陥落

になります。

つまり、2場所連続で負け越し、2回連続で「D評価」だと、降格しちゃいますよ、というルールになっています。

大関の地位に昇進するルールは曖昧だけど、降格するルールは明確ってわけです。

あなたの会社では、何を重要視していますか?

では、あなたの会社では何を重視していますか?

社員に何を求めていますか?

売上や契約件数といった成果ですか?仕事に対する熱意ですか?契約に至るまでのプロセスですか?

それとも成果と熱意の両方ですか?

もし、成果のみで評価されるようにしたのであればその成果で昇給する制度の仕組みにしましょう。

もし、成果だけでなくて、仕事に対する熱意とか、同僚との協調性といった勤務態度も評価したいということであれば、その評価基準も入れましょう。

成果や勤務態度の両方を評価したいんだけど、どちらかというと6:4で成果を重視したいのであれば、ウェイトを6:4に評価する基準にしましょう。

ただ、ここでちょっと悩ましいのが勤務態度に関する評価の基準です。

成果は数字で表れますので、評価がしやすいです。

ですが、勤務態度というのは評価する側によって評価にばらつきが出てきます。先ほどの相撲界で言うところの大関昇進の基準みたいなイメージです。

勤務態度については、複数の上司で評価したり、同僚の評価も取り入れてみる、または評価基準のブレを極力少なくするように評価者に対する研修を行い、評価のすり合わせをするといったことが必要になってくるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

今回は相撲界を取り上げて人事制度を考察してみました。

相撲界では、強い人が評価される世界です。

ですから、勝てばランクが上がるし、負ければ下がるといったシステムになっています。

あなたの会社では、何で評価しますか?

人事制度で評価するものは、会社によって様々です。

よく見るような形式の人事制度に会社の制度を当て込もうとしても無理が出てきます。

既製品の洋服に無理に自分の体を合わせようとしても、着心地が悪いのと同じです。

あなたの体に洋服を合わせるとピッタリで着心地もいいですよね。

無理に合わせようとするから、導入はしてみたものの運用ができない…買ってはみたものの着れすにタンスの肥やしになってしまう…のと同じです。

人事制度を導入して何をしたいのか、社員がどういう人を評価したいのかを明確にして、会社に合った制度を構築していきましょう。