新入社員が早期に退職しないために会社がやるべき大切なこと

新入社員は3年以内に3割離職するのか

4月は、新入社員が入社する時期ですね。

ワクワクして希望を膨らませている人も多いのではないでしょうか。

厚生労働省が2020年に報告したデータによると、入社から3年以内におよそ3割が離職しているといいます。

一昔前の日本の働き方として、入社した会社で定年まで勤めあげる、といった考え方が当たり前のような社会から、日本の雇用の代表的な終身雇用が崩れていある昨今においては、転職のハードルと下がってきています。

ここで、公益社団法人全国求人情報協会が実施した「2021年卒新卒者の入社後追跡調査」の結果をいくつかご紹介します。

入社前の調査では、そもそも新卒者の4人に1人は入社前に「転職志向」を持って入社していて、入社前の時点で転職を意識しています。

入社後調査では、入社後約半年経過時点での就業意識を聞いたところ、入社前に転職志向であった人において、28.0%が「勤続志向」( 「今の企業・団体等でずっと仕事を続けたい」 「当面は今の企業・団体等で仕事を続けたい」 の計)に転じましたが、69.4%は入社後約半年時点で転職志向または既に離職しています。

入社前の時点で転職志向がある場合には、かなりの確率で離職に繋がることが分かります。

また、入社後に「自分はこの会社で仕事をするのは向いていないと感じた」人の約8割が転職志向または既に離職しています。

入社した社員が退職しないために企業がやるべきこと

「適職意識」(「自分はこの会社で仕事をするのに向いていそうだと感じた」)を持てるか否かを入社後における指導担当の有無について見ると、

指導担当がいる(いた)人は、84.9%で前年より3.1pt減少し、

指導担当がいない(いなかった)人は、15.1%で前年より3.1pt増加しています。

この結果からもわかるように、指導担当者がいるかどうかは、定着率に大きく影響しています。

入社した当日、オリエンテーションをしている企業は多いと思いますが、担当者がきちんとついて説明したり、指導したりしていますか?

入社日は区切りがいいということで、週初めの月曜日や、月初めという企業も多いと思います。

しかし、週初めや、月初めは何かと慌ただしかったり、定例会議をやっていたりして、マニュアルや資料等を渡し、「これを読んでおいてください」といった感じで、ほったらかしにしていませんか?

企業側としては、ほったらかしにしているつもりはないかもしれません。

しかし、当の新入社員側としては、誰にも構ってもらえず、一人ぼっちで疎外感を感じてしまうものです。

なんでも「最初が肝心」と言いますが、初日にそんな気持ちになると、なかなかそれを払しょくするのは難しくなります。

新入社員が複数人いるのであればまだいいのですが、中小企業の場合は、一人での入社の場合もあると思います。

入社初日って、ただでさえ緊張し、慣れない環境に置かれているわけですから、十分な配慮が必要です。

もし、対応できないのであれば、何も週初めや、月初めにこだわらず、対応できる日を入社日にしましょう。

今の若者が仕事に求めているものを理解して育成する

こちらも、マイナビが調査した「2021年卒 マイナビ大学生就職意識調査」になりますが、

学生の「就職観」は「楽しく働きたい」が35.8%(前年比2.8pt減)でトップとなっています。

2位は「個人の生活と仕事を両立させたい」の24.3%(前年比0.1pt減)。

「人のためになる仕事をしたい」「社会に貢献したい」などといった、社会的意義を求めるものに関しては3年連続で減少しています。

こういった就職観を理解したうえで、必要な指導や育成をしていく必要があります。

だからといって、仕事は楽なことばかりではありません。厳しさや大変さの中にも楽しさを感じることが出来るような育成が必要です。

日ごろから上司がコミュニケーションをとり、部下をよく理解しておくことが大事です。

そして、適正な場面で仕事の機会を与えることが必要です。

新入社員だからといって、単純で雑用的な仕事ばかりさせていては、仕事に対してやりがいを感じることが出来ず、退職に繋がりやすくなります。

少し背伸びすれば、できるようなことから仕事を任せる、「抜擢」することも必要です。

「抜擢」とは、何も役職を与えることではありません。

例えば、定例会議の進行役に抜擢する、

イベントのある一つの役割責任者に抜擢する、

何か、新人なのにこんな役割を任せてもらえた、ということが信頼関係に繋がり、それがやる気となり、成長に繋がります。

しかし、任せたからと言って、放任するのではなく、もしも失敗しても許容できる範囲での「抜擢」し、支援をすることを忘れてはいけません。

せっかく、縁あって入社したのですから、しっかりと育成計画を立てて、「適職意識」(「自分はこの会社で仕事をするのに向いていそうだと感じた」)を持てるように育ててみませんか?