「所定労働時間」と「法定労働時間」、「代休」と「振休」この違いを理解していますか?

似ている言葉の違いって知っていますか?

通常国会が召集され、1月17日に岸田総理が施政方針演説を行いました。

あれ?昨年末も岸田総理って演説していましたよね?また?って感じたのは私だけでしょうか?

昨年末に行われた演説は、所信表明演説だったようです。うん?

「施政方針演説」と「所信表明演説」の違いって知っていますか?

そこで、調べてみました。

施政方針演説・所信表明演説
開会式の後に国務大臣の演説が両議院の本会議で行われます。
 常会では、内閣総理大臣によりその年の内閣全体の基本方針を示すものとして施政方針演説が行われ、この他、外務大臣、財務大臣、経済財政政策担当大臣からも演説が行われるのが通例となっています(いわゆる政府四演説)。これらの演説に対し、各会派を代表する議員から質疑が行われ、内閣総理大臣をはじめ各大臣の答弁があります。
 特別会、臨時会においては、内閣総理大臣により所信表明演説が行われるのが通例となっており、場合によっては他の大臣からも演説が行われます。これらの演説に対し、各会派を代表する議員から質疑が行われ、内閣総理大臣をはじめ各大臣の答弁があります。

引用:首相官邸サイト 国会に関するよくある質問

つまり、

毎年1月に召集される通常国会冒頭にするのが→「施政方針演説」

臨時国会や総選挙後に召集される特別国会でするのが→「所信表明演説」

ってわけです。通常国会か臨時国会・特別国会かで演説名が違うんですね。

こんな、日ごろ何気に見聞きする言葉で似たようなものってありますよね?

「改訂と改定」「怒ると叱る」「ヴィンテージとアンティーク」など、まだまだたくさんありますね。

「所定労働時間」と「法定労働時間」とは?

では、労務管理でよく使う「所定労働時間」と「法定労働時間」に違いってわかりますか?

「所定労働時間」・・・就業規則や、雇用契約書などで会社で定めた労働時間

「法定労働時間」・・・労働基準法第32条で定められた労働時間(原則1日8時間、週40時間)

例えば、

就業規則で「始業時刻は9時、終業時刻は18時」って規定してありますね。

これが所定労働時間です。

例えば、この「始業時刻は9時、終業時刻は18時」で休憩時間が1時間だとすると、1日の労働時間は8時間になります。

そうすると、先ほどの「法定労働時間」の1日8時間と一緒ですよね。

だから、混同してわかりづらくなるんですよね。

でも、企業の中には、「始業時刻8時半、終業時刻17時(休憩時間1時間)」となっているところもありますよね。この場合、1日の労働時間は7時間30分です。

所定労働時間は法定労働時間内で定める必要があります。

ですから、会社で決めた労働時間が、1日8時間だと、、たまたま法律で決められた労働時間と所定労働時間が同じ時間になっちゃった、というわけです。

では、「所定労働時間」と「法定労働時間」ってあまり気にしなくていいんですね?と思ったあなた!

それは危険です。この違いってやっぱりちゃんと理解しておかないと大変なことになることがあります。

割増賃金の計算方法はどうなる?

所定労働時間と法定労働時間が一緒の場合は、あまり影響しませんが、

所定労働時間<法定労働時間の場合、つまり法定労働時間より所定労働時間が短い場合に気を付けて欲しいポイントがあります。 

割増賃金とは、法定労働時間を超えて労働をさせた場合、割増賃金の支払いをしなければなりません。

割増率は、法定労働時間外に勤務した時間については25%以上となっています。(時間外労働が1月に60時間を超えたら50%になります。※中小企業は2023年4月1日から適用)

事例1:時給1000円 会社で決めた労働時間(所定労働時間)は8時間

この場合で1時間の残業をしたら…

  1000円×1.25=1250円  →1250円の支払いが必要になります。

事例2:時給1000円 会社で決めた労働時間(所定労働時間)が7時間

この場合で1時間残業をしたら…

 1000円×1.0=1000円   →1000円を支払えばいいことになります。

同じ1時間残業をしたのに支払う賃金が違いますね。

事例2ではその日の勤務時間は8時間で法定の労働時間の8時間を超えていません。

だから、割増賃金は発生せず、元々の時給1000円を支払えばいいのです。

企業の中には、法定の労働時間を超えていない残業時間に対して、割増賃金を支払っている企業があります。これは法律以上のことをしているので、従業員にとっては嬉しいことですし、何か問題があるわけではありません。

ただ、違いを理解して割増賃金を支払っているのか、違いを知らずに残業したから、ということで割増賃金分を支払っているのとでは違いますよね。

その残業は、所定労働時間外の残業なのか、法定労働時間外の残業なのかでは、割増賃金の計算方法は異なります。。

所定労働時間と法定労働時間が違う企業では、この割増賃金の計算方法をしっかりと理解して対応しましょう。

※実際の運用では、週の労働時間40時間を超えていないかもしっかりと確認する必要があります。また、変形労働時間制を導入している場合も、割増賃金の対象となる労働時間は変わります。今回のブログでは、所定労働時間と法定労働時間の違いを分かりやすくするため、わかりやすい事例でご紹介しています。この点、ご了承ください。

「代休」と「振休(振替休日)」って何が違うの?

企業の経営者の方とお話しをしていると、よく「代休」という言葉を使っていらっしゃる方が多いように思います。

よくよく聞いてみると、それは代休ではなく、振休の場合があります。

「代休」と「振休」って同じじゃないの?って思っている方多いのではないでしょうか?

この違いも、割増賃金に影響しますのでしっかりと違いを理解しておきましょう。

厚生労働省のホームページにはこのように書かれています。

振替休日と代休の違いは何か。

「休日の振り替え」とは、予め休日と定められていた日を労働日とし、そのかわりに他の労働日を休日とすることを言います。これにより、予め休日と定められた日が「労働日」となり、そのかわりとして振り替えられた日が「休日」となります。従って、もともとの休日に労働させた日については「休日労働」とはならず、休日労働に対する割増賃金の支払義務も発生しません。
一方、いわゆる「代休」とは、休日労働が行われた場合に、その代償として以後の特定の労働日を休みとするものであって、前もって休日を振り替えたことにはなりません。従って、休日労働分の割増賃金を支払う必要があります

引用:厚生労働省 労働基準 よくある質問

つまり、振休は前もって、休日となる日を決めて休日出勤を決めておく、というわけです。

「今度の日曜日を出勤してもらうので、その週の水曜日を休んでね」といった具合です。

一方代休は、日曜日に休日出勤しました。その後に、休日出勤の代わりの休みを決めて休んでもらうことです。

前もって休みを決めておくのか、後で決めるのかの違いなわけです。

法定休日に仕事をさせたら割増賃金(割増率35%以上)を支払わなければなりません。(週に1日は休みを与えないといけませんが、その1日の休みもなく仕事をさせたよう場合ですね。)

ですから、何気なく使っているこの「代休」って言葉はとても重要なのです。

もし、これまで振替え休日のことを「代休」と言っていたのであれば、今日からでも「振休」って言い換えるようにしましょう。

労働基準監督署の調査で「代休」というと、代休なら割増賃金が必要ですよ、って指摘されかねません。

また、「振休」ではなく、実際は「代休」だったような場合は、割増賃金の未払いになることもあり得ます。

「代休」と「振休」違いをしっかり理解して適切な運用をしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?違いをご理解いただけましたでしょうか?

労務管理ではちょっとした言葉の違いが企業経営に大きな影響を与えかねません。

日頃からなんとなく使っている言葉でも、実は意味が全然違うことがあります。

言葉の違いには、どちらでも構わない、ようなものもあれば、まるっきり違う、なんてこともあります。

しっかり理解して、労務管理ひいては企業経営に活かしていって下さい。

最後に、ちょっと余談ですが…

企業でよく使う「配付」と「配布」も実は意味が違いますね。

「配付」・・・特定の人々に配る

「配布」・・・広く一般に配る、

ですから社内の人に文書を渡すような場合は「配付」になりますし、広告のチラシを街頭で配るような場合は「配布」になりますね。

言葉の違いに気づいたら、ちょっと調べてみると、面白い発見に繋がるかもしれませんよ。

それが、雑談で活かされて、「あれ、なんかこの人の話しっておもしろい」って好感を持たれるってこともあるかもしれませんね♡