組織をまとめるリーダーに必要なこと|人材育成とエンゲージメント向上のためにやるべきこととは?

日本時間の2023年3月22日に、野球のWBC決勝戦が行われ、我らが侍JAPANが見事優勝し、世界一になりました!!

本当に凄い!素晴らしい試合を観させてもらいました。

決勝戦の最後のバッターがアメリカがトラウト選手、ピッチャーが大谷選手というこんなドラマでも書けないようなことが起こるのか!という夢のような対決。フルカウントまでいって、最後は空振り三振!で試合を決めました。

もう数々の感動を頂きました。栗山監督が「野球って凄いと思ってもらいたい」と仰っていましたが、本当に「野球って凄い!素晴らしい!」と思いました。

今回のこのWBCを通じて、この野球というスポーツは人材育成の側面からも学ぶことがたくさんありました。

そこで、今回はWBCを振り返りながら、人材育成について解説したいと思います。

絶不調から覚醒した村”神”様~信じることの大切さ~

昨季、史上最年少の三冠王と日本人最多本塁打56本を放った村上選手。今では日本最強バッターであり、侍JAPANでは日本の4番と言われた村上選手。

地元熊本の選手ということもあり、プロ入り1年目からずっと応援しています。

そんな村上選手ですが、このWBCでは1次リーグでは4試合4番を務めるも打率は1割台と極度の不調に陥ります。

「4番を外せ」「スタメンから外せ」といった厳しい意見が次第に増えてきます。

しかし、栗山監督は村上選手を信じて使い続けます。

そして、準決勝メキシコ戦での逆転サヨナラタイムリーヒット、決勝戦での同点ソロホームランを村上選手は放ちました。

結果として、村上選手が打ってくれたから良かったものの、もし準決勝ノーアウト2塁、1塁のあの場面で打てずに準決勝敗退にでもなっていたら、栗山監督も村上選手も世間から相当のバッシングを浴びていたかもしれません。

しかし、おそらく栗山監督はそういったこともすべて自分の責任として覚悟を決め「ムネ、すべてお前に任せた。思い切っていってこい」という言葉をコーチを通じて伝え、そしてサヨナラタイムリーという最高の結果となりました。

これは、何が正解かは難しいところですし、特にプロスポーツの世界では結果がすべて、といったところがありますので、結果が出ていない選手はスパッと変える、という戦術も一つでしょう。

しかし、「人を育てる」という側面で見ると、信じて使い続けるということはとても大切なことです。

例えば、何かしらのプロジェクトリーダーを任せた、ある業務の担当を任せた、といったときに、成果がすぐ出る人もいれば、なかなかでない人がいます。それは、能力不足なのか、配置の問題なのかを見極める必要があります。ですから、そもそも業務を任せる前に、本人の能力や適性等を見極めた上で任せることが必要です。それをせずして、仕事を任せ、結果が出ないから、短期間で配置転換や役割を解くなどといった行為は、望ましくありません。

しっかりと、本人の能力や適性等を見極めて任せたのならば、「信じて待つ」ことはとても大切です。それにより、従業員側もその信頼に応えようと頑張ります。

一度任せた以上、まずは信じて成長を待ちましょう。本人も苦しむこともあるでしょう、しかし、何とかその期待、あなたの信頼に応えようと必死で努力し何とかしようと試行錯誤を重ね頑張るはずです。そんな経験をしてこそ人の成長にも繋がります。

「信じる」ことは「覚悟」でもあります。人材育成には、上司の覚悟は必要ではないでしょうか?

チーム一丸で掴んだ世界一~エンゲージメント~

「チーム一丸」

試合後のインタビューなどで、選手から多く聞かれた言葉。

それぞれが、チームのために世界一になりたい!栗山監督を優勝監督にしたい!といった言葉も聞かれました。

この言葉から感じられるのはエンゲージメントの高さです。

エンゲージメントとは?
組織に対する「愛着心」や「思い入れ」のことです。

エンゲージメントが高い組織は、個々のパフォーマンスが向上します。

それは、仲間や組織への思い入れが高まるため、組織の目指すべき方向や目的を理解し、自ら意欲的に仕事に取り組もうとするため、自ずとパフォーマンスは高くなるわけです。

上司から言われたからやる、といったやらされ感でやるのと、思い入れがあり、率先して組織の目的を達成しようと取り組むのとでは、成果が変わってくるのは当然のことでしょう。

このチーム一丸に尽力したのは、海外選手として唯一宮崎キャンプの初日から参加してくれたダルビッシュ投手の功績は大きかったと思います。

最初はみんな硬かったようです。

食事会を開いたり、自分から率先して声かけをしたりして、先輩後輩の垣根を超えた良いチームを作りました。

それが、チームの団結力、結束を生み、選手みんなの心に「チーム一丸」という強い気持ちが出来て、エンゲージメントも高まったのだと思います。

野球はチームプレーです。

ホームランやタイムリーで得点に直接かかわった選手が注目されがちですが、バントをしたり、進塁打を打ったり、守備でファインプレーを見せたり、盗塁をしたり、時にはミスをした選手のカバーをし、このような一つ一つの積み重ね、一人一人が今自分は何をしないといけないのか、自分の役割は何なのか、ということを理解し、役割を果たすことで、チームの勝利という目的を達成します。

これは、職場でも同じことが言えるのではないでしょうか?

一見、派手な成果を上げた人だけが注目されがちですが、その人を陰でサポートしたり、皆が気づかないようなところでもコツコツと自分の役割を全うしていたりする人がいて、事業は成り立ち、経営目標が達成されます。自分が自分がとばかり言っている職場では、個々のパフォーマンスが高かったとしても、組織全体として良い成果をもたらすとは限りません。

まとめ

今回は、野球からみる人材育成やエンゲージメント向上について解説しました。

野球に限らず、スポーツは人々に感動をもたらし、その感動は知的好奇心を刺激しますし、たくさんの学びがあります。

大谷選手が、決勝戦のロッカールームの円陣で選手みんなにかけた言葉。

「僕から一個だけ。憧れるのをやめましょう。ファーストにゴールドシュミットがいたり、センターを見ればマイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいたり、野球をやっていたら誰しも聞いたことがあるような選手たちがいると思う。憧れてしまっては超えられないので、僕らは今日超えるために、トップになるために来たので。今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう」

この言葉からも学ぶべきことは色々あると思います。

日々の生活の中で、感動することや、凄い人に出会うことがあると思います。そんな時、「感動したあ」「あの人は凄い」で済ませるのではなく、一歩進んで、その感動や凄い人を目の当たりにした時に、そこから何かを学び、自分にどう活かしていくかが、とても大切なように思います。

同じ出来事m同じ経験をしているのに、成長する人とそうでない人との差が出るのは、そういった違いの積み重ねのように思います。

大谷選手がチームに合流して初日のバッティング練習を見て、皆が「すごい、すごい」と言っている中、一人村上選手だけは悔しがっていたそうです。