助成金を活用したい経営者の方必読!「助成金は簡単ゲット」は大きな誤解!?見落としがちなポイントに要注意

中小企業経営者のみなさん、助成金の活用に興味はありますか?もちろん、助成金は経営にとっても活用できるものは大いに活して欲しいと思います。しかし、それには、見落としてはいけない重要なことがあります。どんなことが必要か、このブログを最後までお読み頂ければわかります。では、早速解説していきます。

 

助成金活用の前に、まずは前提条件をチェックしましょう!

助成金とは、雇用の促進や職場環境の改善、人材育成などを目的に、国から支給される返済不要のお金を指します。補助金と違って、支給要件を満たしていれば受給できるものです。補助金は支給要件を満たしていても、必ずしも採択されるわけではないですね。これが、大きな違いです。

だからといって、申請書を書いて提出すれば簡単にゲットできる!思っていませんか?わけではありません。それは大きな誤解です。

助成金を管轄しているのは厚生労働省です。厚生労働省は、働く環境の整備、職業の安定・人材の育成を推進している行政機関です。ですから、労働基準法をはじめとする雇用に関するさまざまな法令遵守は前提になります。

ですから、助成金を申請するためには、申請書類を提出するだけでは足りず、前提の要件として、労務管理の適正さが審査の重要なポイントとなります。労務管理が不十分であれば不支給になってしまうこともあります。では、どんなことが必要なのでしょうか?

適正な労働時間管理

労働基準法に基づいた労働時間の適正な管理が求められます。法定の労働時間は、1日8時間、週40時間を超てはならないとなっています。
法定労働時間を超過した場合は割増賃金を支払いが必要です。休日労働や、深夜労働についても適切な運用と賃金の支払いが必要です。例えば、労働時間の計算方法が間違っていたり、割増賃金に含めて時間単価を計算すべきものが含まれていなかったりすると、未払い賃金があるとして、その未払い分の支払いを求められることがあります。例えば、固定残業代を支払っているから、残業時間は計算していない、なんてことはありませんか?ちゃんと残業時間を把握して、割増賃金を計算し、もし、支払っている固定残業代で足りないなら、足りない分は支払わないといけません。このあたり、きちんとできていますか?

法定3帳簿の備え付け

法定3帳簿(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿又はタイムカード)を備え付けてが必要です。賃金台帳はありますか?って聞くと、ありますよ、って言って給与明細書だったりします。賃金台帳には、労働日数や労働時間など、記載する項目は決まっています。それは、労働者名簿や、出勤簿も同様です。記載が必要な項目を確認しておきましょう。また、年次有給休暇の5日取得義務化されていますので、年次有給休暇管理簿の作成も整備して、年休の取得状況を管理しておきましょう。

賃金支払の5原則を守ること

労働基準法では、賃金の支払いについて、
『通貨』で
『全額』を
『毎月1回以上』
『一定の期日を定めて』
『労働者に直接支払う』
と定められています。『通貨』については、本人の同意があれば口座振込は認められています。

また、賃金は最低賃金以上の額を支払わなければなりません。

各種保険に加入すること

採用後、条件に該当する場合は、次の保険への加入が必要です。事業主の判断や個人の意思での判断は認められていません。
労災保険:全従業員適用
雇用保険:週20時間以上かつ31日以上の雇用の見込みがある人
健康保険・厚生年金保険:正社員の4分の3時間以上働く場合(現状は30時間が目安)

「労働保険料の滞納をしないこと」は、助成金の要件になっています。

就業規則の整備

常時雇用する労働者数が10人以上の場合は、就業規則の作成、届出が必要です。助成金によっては、常時雇用する労働者数が10人未満であっても、就業規則の作成が必要となっているものもあります。

人事労務のブラックボックスに潜むリスク

労基法の違反は罰則が課せられる可能性があります。未払い残業代や休日出勤の手当不足など、従業員に不利益をもたらすような違法な労働条件は避けましょう。労務管理の不備は、従業員のモチベーション低下や離職率の上昇につながる可能性があります。結果として、企業の業績や競争力にも悪影響を及ぼすことになります。

採用難時代に選ばれる企業になるために

労務管理の整備は、採用難時代においても重要なポイントです。選ばれる企業となるためには、以下の要素に注力しましょう。

適正な労務環境の整備

従業員が働きやすい環境づくりを行いましょう。労働時間の適正化や柔軟な働き方の導入など、働きやすさを追求することが重要です。例えば、就業規則の作成は、労働基準法では常時雇用する労働者数が10人未満の事業場では、就業規則の作成は義務となっていません。だから作らない・・・働く人の立場に立ち考えてみるとどうでしょう。働くルールが明確になっている企業と、そうでない企業、どちらが働きやすいと思いますか?

働き方改革の推進

労働時間の見直しや効率的な業務プロセスの構築を行い、従業員のワークライフバランスを重視した働き方の推進も必要です。
個別のニーズへの対応: 従業員一人ひとりのニーズに応える制度や福利厚生を整えることで、優秀な人材の獲得や定着を促進します。

まとめ

助成金は、企業での取り組みにおいて、活用できるものはぜひ活用したほうがいいと思います。ですが、肝心な労務管理が適正に行われていないと、せっかくの助成金も活用できない・・・ことになってしまいます。。さらに、労務管理の重要性は採用難時代においても高まっています。経営者としては、労務管理を見直し、適正な労務環境の整備に取り組むことが求められます。助成金の活用だけでなく、選ばれる企業となるために、今こそ労務管理に注力しましょう。

 

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