管理職昇進の落とし穴!人事で失敗しないために知っておきたいポイントをわかりやすく解説

こんにちは。
今回は、組織における昇進のリスクと成功するためのポイントについて解説します。「ピーターの法則」ってご存じですか?この法則は、ローレンス・J・ピーター博士とレイモンド・ハルによって提唱された理論で、階層組織において「人は無能になるまで昇進する」というものです。特に、少数精鋭で運営される小規模企業では、この法則が大きな影響を及ぼす可能性があります。従業員の昇進に関してどのような点に注意すべきか、そして、どのように対策を講じるべきかを探っていきましょう。

 

ピーターの法則とは?

ピーターの法則について、もう少し解説します。

ピーターの法則とは、組織において個人がその役割で成果を出し続けると昇進し続けるが、最終的には自分の能力を超えた職位に昇進してしまい、その結果、無能になってしまうという理論です。例えば、一人の優秀な営業マンが、その業績を認められ、営業部長に昇進したとします。しかし、その営業部長としての業務には、異なるスキルや知識が求められ、必ずしもその人物が営業マンとして発揮していた能力が役立つとは限りません。結果として、彼は管理職としては成果を出せなくなってしまう可能性があります。

この現象は、プロスポーツの世界でもよく見られます。名選手であった者が必ずしも名監督になれるわけではない、という事実は、多くの例を通じて証明されています。選手としてのスキルと、チームを統率する監督としてのスキルは全く異なるからです。

小規模企業における昇進のリスク

小規模企業では、一人ひとりの社員が重要な役割を果たしており、その能力が会社全体のパフォーマンスに大きく影響します。そのため、優秀な社員を昇進させることは、企業の成長に直結する重要な決定です。しかし、ここでピーターの法則が働くと、優秀な社員が新たな役割で十分な成果を出せないというリスクが生じます。

小規模企業では、管理職やリーダーの数が限られているため、一人が果たすべき役割の幅が広くなりがちです。例えば、経営者が複数の役割を兼務することも少なくありません。同様に、昇進した社員にも、これまで以上に多くの責任と異なるスキルが求められることになります。しかし、必ずしもその社員が新たな職務に適しているとは限りません。

このような状況では、昇進がかえって企業全体のパフォーマンスを低下させるリスクが高まります。優秀な社員を無理に昇進させることで、彼らの本来の得意分野でのパフォーマンスも失われ、さらに管理職としてのパフォーマンスも期待できない、という二重の損失が発生する可能性があります。

昇進の判断基準と対策

では、どうすればピーターの法則を回避し、企業全体のパフォーマンスを維持・向上させることができるのでしょうか。以下に、いくつかの具体的な対策を挙げてみます。

1. スキルマッチングを徹底する

昇進を検討する際には、その社員が新たな役割に求められるスキルや資質を持っているかを慎重に評価することが重要です。昇進先の役職に必要なスキルセットが現在の役職と大きく異なる場合、その社員が新しい役割で成果を出せるかどうかを冷静に判断する必要があります。場合によっては、外部の専門家を雇ってスキル評価を行うことも有効です。

2. 管理職研修を充実させる

新たな管理職には、必要なスキルを身につけるための研修を提供することが重要です。現在の業務で成果を上げているスキルと、管理職としてのスキルは全く異なります。特に、リーダーシップ、コミュニケーション能力、問題解決スキルなど、管理職に求められる基本的なスキルについての研修を充実させることで、昇進後のギャップを埋めることができます。また、もし経験豊富な管理職がいる場合は、メンター制度を導入し、経験豊富な管理職が新たなリーダーをサポートする仕組みを作ることも効果的です。
※メンター制度とは…先輩社員が、後輩社員の業務やメンタル面の悩みを聞き、相談にのったりしてサポートする制度のことです。メンターとは、「良き指導者」「助言者」を意味します。

3. ダイナミックな昇進・配置転換の仕組みを導入する

適材適所に配置する柔軟な人事制度を導入することも重要です。例えば、ある役職に昇進させる前に、まず試用期間を設け、その職務が適しているかどうかを確認することが考えられます。また、適切でない場合には、迅速に元の職務や他の適切な役割に戻す仕組みを整えておくことも必要です。ある有名な人事系の事業を行っている会社では、管理職に向いていなければ、降格になる仕組みが定着していますので、従業員もチャレンジしやすくなります。管理職も一つのスキルですし、その業務や役割に向いていなかった、というだけですから、降格をマイナスに捉える必要は無いのです。

4. 評価制度の見直し

昇進の判断基準を見直し、個人の業績だけでなく、チーム全体への貢献度やリーダーシップの潜在能力など、より包括的な視点から評価することが求められます。特に、小規模企業では、個人の貢献が全体に与える影響が大きいため、組織全体のバランスを考慮した評価が重要です。

まとめ

ピーターの法則は、組織における昇進のリスクを警告するものであり、小規模企業にとっても重要な教訓を含んでいます。優秀な社員を昇進させる際には、その社員が新しい役割で成功するために必要なスキルを持っているかどうかを慎重に評価し、必要なサポートを提供することが不可欠です。また、柔軟な人事制度を導入し、適材適所の配置を行うことで、組織全体のパフォーマンスを維持・向上させることができます。

最終的には、ピーターの法則を意識しながら、社員一人ひとりの強みを最大限に活かし、組織全体の成長を支えることが、小規模企業の成功の鍵となるでしょう。名選手が必ずしも名監督になれるわけではないように、優秀な社員が必ずしも優れた管理職になるとは限りません。しかし、適切なサポートと配置を行うことで、全員が自分の役割で輝く組織を作り上げることができるのです。

 

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