業務分担を細かく決めることで起こってしまう思わぬ落とし穴とは?

分担を明確に決めると仕事はスムーズになる?

職場で毎朝掃除をするときに、特にその日を担当を決めていなかったのでは、誰も掃除していないところが出てきたりしますね。

それを無くそうと、今日は誰がどこの掃除をする、といった分担表を作りました。

フロアの掃除をする人、玄関を掃除する人、廊下を掃除する人、トイレを掃除する人、などなど。

それぞれ担当する場所を決めているから、職場全体の掃除が行き届いてきれいになりそうですね。

だけど、玄関を掃除する人、廊下を掃除する人との間に、どちらともいえない場所がありました。

すると、玄関を掃除する人はそこは廊下だろうと思って自分の掃除エリアではないと思って掃除しない、廊下を掃除する人はそこは玄関でしょう、とどちらも掃除しなかった…みたいなことが起ここります。

また、靴箱の中が汚れてきたけれども、靴箱の掃除担当は決めていなかったので、誰も掃除しないしない状態がずっと続いて、気づけば汚い靴箱になっている、みたいなことが起こります。

このようなことは、仕事の実げんばでも起こりえます。

例えば、セミナーを開催したときに、

受付係、会場ないでの誘導係と担当が割り振られていた時に、受付を済ませたお客様が、どこから入るのか迷っているお客様を誰も対応していないなんてことがあります。

受付係は、受付をするのにだけに集中していて、それ以外に気配りが出来ていないし、

誘導係は、会場に入って来られて方だけに気を取られ、会場外の人に気が回っていないわけです。

しっかりと役割分担を決めたにもかかわらず、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

世の中は想定通りにいかないもの

どんなに、細かく役割を決めても、現実には思ってもみないことが起こったりするものです。

野球を例に挙げて少し見てみましょう。

内野であれば、ファースト、せカンド、サード、ショート、外野であればライト、センター、レフトといったように守備位置が決まっています。

ですが、ボールはどこに飛んでくるかわかりません。

セカンドとショートの間、ライトとセンターの間、セカンドとライトの間だったり。

セカンドの人がショート寄りで捕球することもあれば、レフトの人がショート付近まで走ってきて捕球するなんてこともあります。

セカンドとショートの間やセカンドとライトの間に明確な線引きがあるわけではありません。

でも、ヒットにさせない、打者をアウトにするという明確な目的があるので、その目的を達成するために、その場その場で考えて動いて捕球が出来る可人が捕球をします。

ですが、たまに、お見合いみたいになってポテンヒットになったりします。

これは、相手が取ってくれるだろうとお互いが思ってしまった結果です。

このポテンヒットは、仕事で言うところの誰も対応せず、ミスに繋がることと同じでしょう。

自分の分担にかかわらず、目的達成へ向けた仕事ができる組織にするには?

では、役割をきちんと決めても、エアポケットみたいなことが起こってしまうのはなぜでしょう。

誰かがやるだろう、みたいなことが起こっていたから、そうならないように業務分担を明確にしましょう、と言って明確にする対策をとる職場をよく見かけます。

ですが、明確に決めたにもかかわらず、やっぱり、誰かがやるだろう、みたいなことが起こってしまう。

ときには、分担をする前より、もっと事態が悪化する、なんてこともありますね。

それはなぜでしょうか?

問題は、明確な役割分担が無かったことだったのでしょうか?

明確な役割分担をしても同じようなことが起こるのであれば、問題は違うところにありそうです。

このように、問題は何なのかを見誤ってしまうと、問題の解決に繋がりません。

大事なのは、自分たちは仕事の目的は何なのか、使命は何なのか、誰のためにしているのか、という原点に立ち返ってみることだと思います。

お客様に、喜んでいただくサービスを提供するのであれば、自分の役割や担当のことだけやっていればいいということではありません。

先ほどの野球のように、担当以外のことにも目を向け、そして気を配り、その場面に応じた最良のことをやることだと思います。

冒頭の掃除ですと、掃除は、自分も含めてそこで働く人が快適に仕事が出来るようにする、またはいらっしゃったお客様に気持ちよくご利用いただくためだとすれば、その日の自分の担当場所以外でも、気づいたところがあれば、進んで掃除をすればいいのです。

自分の担当をこなすことが目的になってしまうと、どうしても誰もやっていないみたいなことが起こってしまうのです。

自分に与えられた担当だけやればいいという精神では、抜け漏れが発生し、お客様に迷惑をかけたり、業務効率が低下したりするものです。

ですから、自分たちの目的や使命は何なのか、ということを社員一人一人に浸透させていくことが大事ではないでしょうか。