はじめに
「○○さんがいないと仕事が進まない」
「頼りにしていた社員が辞めた途端、現場が回らなくなった」
こんな“属人化のリスク”に頭を抱えていませんか?
中小企業にとって、脱属人化(業務の仕組み化) は経営リスクを減らすために欠かせません。
しかし一方で、「誰でもできるようにする」ことが「誰でもいい」と受け止められてしまうと、社員はやりがいを感じられず、定着しにくくなります。
では、どうすれば 業務は回り続け、社員は辞めない職場 を実現できるのでしょうか?
答えは、「仕組み」と「信頼関係」の両立にあります。
1. 脱属人化とは「特定の人に依存しない」仕組み化
「脱属人化」という言葉を聞くと、「あなたじゃなくてもいい」という冷たい響きに感じる人もいるかもしれません。
しかし本来の意味は違います。
脱属人化とは、仕事のやり方や情報を仕組み化して、誰が担当しても同じ成果を出せるようにすることです。
- 作業手順をマニュアル化する
- 情報をクラウドで共有する
- 業務フローを標準化する
こうした取り組みによって、社員が休んでも退職しても、会社の仕事が止まらない体制をつくることができます。
2. 誰でもできる仕事と、あなただからできる仕事
脱属人化を進めると、「誰でもできる」仕事が増えます。
ですがそれは「誰でもいい」という意味ではありません。
- 誰でもできる仕事(仕組みで担保できる業務)
請求処理、日報作成、発注作業など、マニュアルに沿えば同じ結果が出せる仕事 - あなただからできる仕事(替えが効かない役割)
社員を励ます声かけ、顧客に寄り添う提案、信頼に基づく判断など、人間的な関わりでしか生まれない仕事
脱属人化は、特定の人に依存する状態をなくすためのものです。
だからといって『誰でもできる仕事』にしてしまうことではありません。
むしろ仕組みを整えることで、社員一人ひとりが“自分にしかできない価値”に集中できる環境をつくるのです。
3. 信頼関係が「あなたじゃないと」と思わせる
一方で、社員が働き続ける理由は「仕組み」だけでは生まれません。
大切なのは「この人と働きたい」「自分は大事にされている」と感じられる信頼関係です。
-
日々の声かけや感謝
-
成長を応援してもらえる安心感
-
自分の存在が認められている実感
こうした積み重ねが、「辞めない理由」になります。
4. 両立で実現する「安定と定着」
- 脱属人化だけ
→ 業務は止まらないが、社員は「替えがきく存在」と感じてやりがいを失い、辞めやすくなる。 - 信頼関係だけ
→ 人はついてくるが、特定の人が抜けるとノウハウごと消え、会社のリスクが高まる。 - 両立した場合
→ 業務は仕組みで安定し、信頼関係で社員が辞めない。
会社の「安定」と「成長」が同時に実現する。
両方をそろえることで初めて、
業務は仕組みで安定し、信頼関係で社員が辞めない。会社の「安定」と「成長」が同時に実現する。
4. 具体例でイメージする
- 飲食店の場合
・接客や調理のマニュアルがあるから新人でもすぐに仕事ができる
・店長の声かけや人柄で「ここで働きたい」と思うスタッフが増える - 製造業の場合
・作業手順が標準化されているから品質が安定
・リーダーのフォローで新人も安心して続けられる
どちらか一方では十分ではありません。
仕組み+信頼の両立が、人が定着する職場をつくります。
5. 職場を見直すチェックポイント
- あなたの会社の業務は「仕組み」として誰でも対応できる状態になっていますか?
- そして同時に、社員から「この人と働きたい」と思われていますか?
両方を意識することで、社員が安心して働き続け、会社の成長が持続します。
まとめ
「誰でもできる=誰でもいい」ではありません。
脱属人化は、特定の人に依存する状態をなくすためのものです。
だからといって『誰でもできる仕事』にしてしまうことではありません。
むしろ仕組みを整えることで、社員一人ひとりが“自分にしかできない価値”に集中できる環境をつくるのです。
仕事は仕組みで守り、人は信頼でつなぐ。
この二つを両輪にすることが、社員が定着し、会社は長く続く企業へと育っていきます。
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