発想の転換を変えて成果を上げる
あるテレビ見ていたら、宅配事業をテーマに取り上げた番組がありました。
客がインターネットで注文をして、自宅へ届けるまでいかに短時間で届けるか、ということに分単位で各社競争しているというものでした。
ある会社では、15分で届ける、ある会社では10分で届けるといった感じで、よくそんな短時間で届けることが出来るもんだなあ、と思いながら見ていました。
商品が注文されてから、その注文商品を揃えるまでに1分少々で、デジタルを駆使した無駄のないオペレーションには感心させられました。
ただ、私としては、15分でも10分でもそこの違いはそこまで必要ではないかな、それより品揃えだったり、丁寧にそして良質なものを届けてくれるんだったら、逆に20分や30分かかってもいいかな、なんて思って観ていました。
ここまでくると、5分で届けます!みたいな会社も出てきたりするんじゃ、と思いましたが、速さだけで勝負しようと思うといずれ限界がきて、淘汰される企業も出てくるでしょう。
その渦中にいると、どうしても他の手法が見えにくくなります。
そこで必要なのが、発想の転換です。
江戸城を作った徳川家康の発想とは?
戦国時代にお城を造るときは、「攻め落とされない城を造る」ものでした。
でも、あの難攻不落と言われた大阪城ですら落城した。
そこで、徳川家康は考えた。「攻め落とされない城を造る」ではなく、「城は攻め落とされるもの」という発想で、江戸城を築城したと言われています。
ヤクルト高津監督の采配で前年最下位からの日本一
プロ野球は基本、火曜日から日曜日までの6日間試合が行われます。
先発投手は、この6日間を投げるローテンションが決まっています。
このローテーションを上手く回していくのが、プ野球の基本的なやり方です。
でも、ヤクルトスワローズは、先発投手陣が安定しておらず、先発ローテーションが組めない状況でした。
そこで、高津監督が考えた手法が、「先発ローテンションが組めないのなら、ローテーションを組まなければいい」という発想です。
その時に調子のいい投手を投げさせる、という戦い方をしました。
その結果、規定投球回数に達した投手は一人もいない、10勝上げた投手も一人もいないにも関わらず、リーグ優勝、そして日本一まで上り詰めました。
出来ないことを突き詰めるより、できる方法を考える!
人事労務についても、この発想の転換は必要です。
例えば、人事制度が上手く運用できない、といった相談を受けることがあります。
人事制度が上手くいかないのは、人事制度導入の目的と、導入した制度がマッチしていないことももちろんありますが、運用を浸透させるだけのリソースが無かったりします。
そういう場合は、無理して人事制度を上手く運用することに時間を使うのではなく、「人事制度を導入しない」という発想も必要です。
つまり、人事制度を導入する目的は何か?ということです。
従業員を適材適所で配置して、能力を発揮することが目的であれば、個別面談の機会を増やし、面談の内容を充実させて、従業員が何を目指しているのか、どんなことにやりがいを持っているのかなどを把握して、その能力や個性が発揮できる配置をする。
また、経営者や管理職間で、従業員のことを徹底的に話し合う、といった機会を設けて、従業員の情報をよく把握して、その情報をもとに活躍の場を与える、といった方法もあります。
求める成果は何なのか、が大事なのです。
手段が大事なのではありません。
人事制度の導入にしても、企業に合っていない、のであればその人事制度をいかにうまく運用するか、ということに固執せず、思い切って人事制度をやめて、別のやり方に舵を切る、という判断も必要です。
成果を出すための最善の方法を見つけて、実行しましょう。