会社の理念を共有する人材の採用はなぜ必要か?

ホテルオークラのホスピタリティ

私は、東京のホテルオークラが大好きです。

ホテルオークラは「和」を基調にしたデザインが施され、落ち着いた雰囲気と、また、スタッフ一人一人の心のこもったおもてなしに心地よさと安らぎを感じます。

その素晴らしいホスピタリティに感動すら覚えます。

スタッフ一人一人がホテルに来たお客様に満足して帰ってもらおうという気持ちが随所に感じられます。

例えば、レストランで食事をしていて、ちょっとお願いしたいことがあって手を挙げると、すぐにスタッフの方が気づいてすっと来てくれます。何度も手を高く挙げたり、「すみませーん!」といって大きな声を上げることもありません。

それは、常にスタッフの方がお客様に気を配っているからです。

また、ホテルの床にはチリ一つ落ちているのを私は見たことがありません。

それは、単に清掃が行き届いているだけでなく、チリが落ちているのを見つけたら、ポストや職種にかかわらずスタッフみんながチリを拾っているからなのです。

コロナが落ち着いたら、是非また訪れてみたいと思っています。

九兵衛がホテルオークラを訴えた裁判とは?

そんな、ホテルオークラ東京に関する裁判の判決が昨年末ありました。

それは、すし店九兵衛が、ホテルオークラ東京本館(港区)の建て替えに伴い適切な協議が行われず、賃借していた店舗の移設先が、新本館のアーケードの片隅に追いやられたのは義務違反などとして、ホテルに1000万円の賠償などを求めた裁判です。

判決は、すし店九兵衛の敗訴でした。

私も、以前ホテルオークラ東京の「九兵衛」で食事をしたことがありますが、当時は和食「山里」のすぐ目の前で、メインとなる場所にありました。

「九兵衛」っていうお寿司屋さんも有名ですよね。

2018年には、当時のオバマアメリカ大統領と安部首相が銀座の「九兵衛」で会談をしたこともありました。

それだけ、「九兵衛」も格式あり、有名なお寿司屋さんであることは間違いありませんね。

だからこそ、建て替え後のお店の場所が、メイン通りから外れ片隅の場所になり、格落ちしたと感じ、我慢できなかったのでしょう。気持ちはよくわかります。

但し、ホテルの一画を借りて、商売をしている以上、どこのお店をどこに配置するかは、ホテル側の采配です。

追いやられてしまった、「くそー」って思って、裁判を起こすことが「九兵衛」の取るべき方法だったのかな、誰か止める人はいなかったのかな、って私はちょっと残念に思います。

移設先が気に入らなければ、そこを出ていけばいいのです。

でも、九兵衛は、そのまま建て替え後のホテルで営業しています。

ならば、なおさら訴訟をするべきではなかったように思います。

リーダーに必要な部下を育てる力

これって、会社での人事異動の話しに似ていますね。

例えば、ある日、ある社員に異動や降格を命じたところ、なぜですか?なぜ私が異動なのですか?なぜ私が降格するのですか?と凄い剣幕で不満を言ってくる社員

これまでの人事評価などをもとに説明しても、なかなか理解してくれずずっと不満を言っている人。

でも、結局要望は受け入れられないし、辞める勇気もなく、そのまま異動を受け入れてその会社で仕事を続ける、といった具合。

人って、自分が不利になることはなかなか受け入れられないし、「自分は頑張ってる!」と皆が思っています。

例えばサービス業で、お客さんに不愛想な接客をしていて、しょっちゅうクレームをもらうスタッフでも「自分はこんなに頑張っている」と言ったりします。

こういったことが原因で裁判になることもありうるでしょう。

そんな面倒な社員だったらいっそ解雇を、と思っても、日本の制度ではそう簡単に解雇は出来ません。

「解雇権濫用の法理(労働契約法第16条)」って言って、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めているのです。

では、こういう社員を出さない、こういった社員にしないためにはどうしたらいいでしょうか?

管理職であるリーダーの役割を考えていましょう。

リーダーは、会社の経営目標を達成するために、部下一人一人がその能力や強みを活かせるようにすることだと思います。

日頃から、ちゃんと部下とコミュニケーションを取って、部下はどんなことを考え持ち、どういうことにやりがいを持ち、あなたは部下に何を期待し、どうなって欲しいかなどをちゃんと聞き、ちゃんと伝える必要があります。

そういったことを聞きもせず、伝えもしないで、ダメだししても部下は納得しませんね。

人事評価制度を導入している場合、その評価に関する説明は丁寧に行う必要がありますし、また人事評価の時だけでなく、最近取り入れてる企業が増えてきたい1on1でも、出来るだけ部下が話しやすい環境を作って、部下にたくさん話してもらって、どんな考えを持っているのか、などをよく把握しておく必要があります。

最近読んだ『AI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣』越川慎司氏著にこんなことが書いてありました。

部下が最も嫌がる声掛け
2.9万人の部下に聞いた「最も嫌な質問トップ3」
第1位
「最近、どう?」
部下の意見
「適当な感じ」、「私に関心を持っていない感じがする」

第2位
「最近、忙しい?」
部下の意見
「勤務表見ればわかるでしょ」、「忙しいとは言いづらい」

第3位
「だらだらやってない?」
部下の意見
「否定から入らないでほしい」、「決めつけないで」
クロスリバー調べ(2017年5月~2020年12月)

これを見て、リーダーのあなたはどう感じましたか?

もしかして、結構使っていましたか?ちょっとゾッとしましたか?

こういった、部下が嫌がる声かけを無くすだけでも部下との距離感は縮まり、良好な関係が築けるかもしれません。そうすれば、育成も上手くいくはずです。

でも・・・

そんな、努力をリーダーがやって、しっかり教育しても残念ながら改善できない社員がいるのの確かです。

仕事のスキルは、仕事をしていく中で身についていくものです。

ですが、根本的な考え方、本質というものはなかなか変えることは出来ません。

目先のスキルより、会社の理念を共有できる人なのか、同じ方向に向かって仕事が出来る人なのか、が実は採用時の採用基準としてとても大切です。

外部からの働きかけで変えることができることと、変えることができないことがあります。

つまり「変えることができないこと」については、最初っから身についている必要がありますし、その素地が必要です、

あなたの会社の採用基準は、その「変えることができないこと」を優先したものになっていますか?

もし、スキルを優先した採用基準であれば、ぜひ、一度、見直してみることをお勧めします。

「九兵衛」みたいなことが起こらないためにも。

 

最後に・・・

願わくば、いつかまた「九兵衛」もメイン通りに戻れるといいなあ。。。