上司に届く情報は上司が好きな情報に最適化されている!?

先日、新聞の発行部数が年々減少しているとの記事を見ました。

一般社団法人日本新聞協会の新聞の「発行部数と世帯数の推移」によると、

  • 2021年発行部数:33,027,135部
  • 2020年発行部数:35,091,944部
  • 2011年発行部数:48,345,304部

ここ10年で実に3割強減少しています。

インターネットやスマートフォンの普及により、SNSやニュースサイトなどで情報を得る人が増えたことが原因と思います。

ただ、SNSなどの情報はあなたが好む情報に最適化されて表示されます。

例えば、私の場合、プロ野球のヤクルトスワローズが好きなので、Yahooニュースではよくヤクルトスワローズに関するニュースが表示されます。だから、多くの人がヤクルトスワローズに関心があるんだな、と無意識に思っていることがあります。

でも、実はそんなことは全然なくて、阪神タイガースが好きな方のYahooニュースには阪神タイガースに関する情報が表示されますよね。

ですから、自分が日頃関心が無い情報は、自分には見えづらくなってしまいます。

これは、ビジネスの場でも起こり得ます。そして、それはとても危険なことなのです。

新聞の良いところは、自分の好むと好まざるとを問わず、一覧で色んな情報に触れるところです。

 

上司が好む情報は報告されやすい

たとえば、良い情報や、良い報告ってこちらから求めなくても、部下の方から自発的に上がってきていますよね。

「今日、お客様からあなたの会社にお願いして本当に良かった、って言って頂きました。」

「今月の売り上げ目標がすでに達成しました!」

などなど。

それは、報告すると上司が喜んでくれるからです。

あなたが好む報告であり情報だからです。

ですが、ネガティブな情報、ちょっと言いづらい報告や、自分がミスった報告はなかなか上がってきません。

「お客様からクレームがあった、でも自分で何とか処理できたからいいか。」

「来週のお客様にプレゼンする資料の作成が間に合いそうにないが、何とかなるだろう。」

こういったネガティブ情報が、なかなか上司まで報告されないと気づいたときには、致命的なことになりかねません。

「お客様からクレームがあった、でも自分で何とか処理できたからいいか。」

⇒実は、同じようなクレームがいくつも寄せられていて、結果解約になってしまった。

「来週のお客様にプレゼンする資料の作成が間に合いそうにないが、何とかなるだろう。」

⇒思った以上に資料作成に時間がかかり、前日になってもまだ完了していない。

人間には、自己防衛本能があります。

ですから、自分が不利になるようなことは無意識に言わないようになります。

上司が喜ぶ情報に最適化される

冒頭に書いたSNSの情報と同じで、上司に届く報告は上司が好む情報に最適化されてしまいます。

では、ネガティブ情報も報告してもらうにはどうしたらいいでしょうか?

そう、ネガティブ情報も上司が好む情報に変化させればいいのです。

お客様からのクレームの報告にも「よく、報告してくれたね。ありがとう。」

売上が目標達成しなかった報告にも「報告してくれて、ありがとう。一緒に改善策を考えようか。」

といった具合です。

それって、ちょっと甘くない?と思う人もいるでしょう。

でも、「報告」自体に、良いも悪いもないと思いませんか?

会社への貢献度や、売り上げの成果などの評価の話しとは切り離して考えましょう。

評価は評価で、別に行いましょう。

そうしないと、上司に最適化される報告のみになってしまうと、会社の実態、現場の実態は見えずらくなり、上司、特に経営者は裸の王様になってしまいます。

そして、取り返しのつかない状況になって、初めて報告されることになってしまいます。

「報告」に良い悪いの判断をせず、「報告」はオール「ありがとう」にして、ありのままが見える環境を作りましょう。

そういった組織が、経営を良くし、強い組織になりますよ。