経営者必見!労働時間をきちんと管理して、従業員に長くそしてハッピーに働いてもらうコツ

労働時間の管理は適正行っていますか?例えば、労働時間の端数切り捨ては禁止されており、1分単位での賃金支払いが求められることを知っていますか?実際には15分未満の労働時間が切り捨てている…といったことはありませんか?今や、人手不足の時代、優秀な人材を採用して、長く勤めて欲しいですよね?それには、やっぱり決められたルールを守ることは今や当たり前かもしれません。「昔はこれでよかったのに…」は、もう通用しませんよね。

厚生労働省は「労働時間を適正に把握し正しく賃金を支払いましょう」というリーフレットを作成し、労働時間の適切な管理を企業に求めており、周知活動を強化しています。労働時間の管理は、従業員の給料に直接関わる大事なポイントです。もし管理がずさんだと、給与計算にミスが起きて未払いが発生したり、トラブルにつながったりすることも…。でも、逆に言えば、しっかり管理して正しく給料を支払うことで、会社への信頼も深まり、定着に繋がります!今回は、厚生労働省からは、労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱いのリーフレットを参考にしながら、労働時間の適正な管理と、給与計算をミスなく行うための方法を、日常的に起こり得る事例を交えて解説します。

 

そもそも労働時間って何?

労働時間とは、従業員が会社の指示で働いている時間のことです。つまり、「従業員が会社のために働いている時間」のことです。ここで大事なのは、会社からの「明確な指示」だけでなく、「黙示の指示」も含まれるということです。「黙示の指示」とは、会社から従業員に対して具体的な指示を出さなくても、従業員が実質的にその指示に従わざるを得ない状況を指します。これは、従業員が自己の役割を理解し、周囲の状況や常識に基づいて行動することから生じます。具体的には、会社からの明示的な命令がなくとも、納期が迫っているから「これを終わらせないと帰れない」といった場合や、他の従業員が残業しているために残らざるを得ないといったような場合です。

実務上では、こんな時は労働時間?労働時間じゃない?など迷うこともあるのではないでしょうか。それでは、具体的な事例を見てみましょう。

労働時間になるケース

休日に会社指定の研修に参加する場合

研修が会社の指示によるものであれば、休日に行われたものであっても労働時間です。例えば、「レポート提出」が求められる場合だけでなく、参加そのものが指示であれば、その時間は労働時間としてカウントされ、賃金を支払う必要があります。

作業の準備時間

制服を着用して作業をすることを義務付けている場合で、業務開始前に「ユニフォームに着替えたり、作業場所を清掃したりする時間」も、業務に必要な作業であれば労働時間に含まれます。

労働時間に含まれないケース

一方で、会社からの指示がなく、従業員が自由に参加している研修や勉強会などは、労働時間には該当しません。ただし、実質的に参加を強制される場合や、参加が評価に影響するような場合は、労働時間とみなされることがあります。

仕事が終わった後の勉強会

仕事が終わった後に開催される勉強会で、「参加しなくても人事評価に影響がない」と明確にされており、従業員の自由意思で参加している場合、その時間は労働時間にはなりません。

実質的に参加を強制されるような環境や暗黙の圧力がある場合は、労働時間に該当する可能性があるので要注意。

自主的にスキルアップのための勉強

会社の指示なしで、自分の意思でスキルアップのために勉強する時間は、もちろん労働時間には含まれません。ただし、もし会社がその活動を「義務」としている場合は話しが違って、労働時間としてカウントしないといけません。

労働時間を正しく管理しないと給与トラブルに!

なぜ、労働時間を適正に管理することが重要かというと、それは給与計算に直結しているからです。労働時間が適切に管理されていないと、給与計算に誤りが出たり、未払いの賃金が発生してしまうこともあります。例えば、次のようなケースは法律違反になる可能性があります。

労働時間の端数を切り捨てる

勤怠管理システムで「15分未満の時間外労働を切り捨てる」といった処理は違法です。たとえ1分でも、残業代として支払わなければなりません。端数処理を行う場合でも、正確に労働時間が賃金に反映されることが重要です。

短い残業を申請できないようにする

「残業申請は30分以上しかできない」なんてルールもNGです。たとえ29分間でも、働いた分は労働時間としてカウントし、賃金を支払う必要があります。

こうした不正な処理があると、従業員は不満を抱え、最悪の場合訴訟に発展することもあるので注意が必要です。

とはいえ、なかなか労働時間の管理は煩雑です。なので、次のような端数処理は認められています。

•労働時間における端数処理の例外として、1か月における時間外労働、休日労働および深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることは、常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便を目的としたものとして認められます。
•また、1日の労働時間について、一定時間に満たない時間を切り上げた上で、その分の賃金を支払うことは、問題ありません

労働時間をきっちり管理すれば、従業員のやる気もアップ!

労働時間をしっかり管理し、従業員に正しい賃金を支払うことで、会社への信頼感が高まり、結果的に従業員の定着率も上がります。正しい給料が支払われることで、従業員は「公正に扱われている」と感じ、安心して働ける環境が整います。例えば、以下のような工夫が従業員満足度を上げるのに役立ちます。

従業員満足度を上げるために、こんな工夫をしてみましょう

透明な勤怠管理システムを導入する

タイムカードやICカードなどで、従業員の労働時間を正確に記録できるシステムを導入しましょう。労働時間が適切に管理されていることを従業員全員が確認できるようにするのが大事です。なお、労働基準法では労働時間の記録は3年間保存する義務がありますので、その要件も満たすことが重要です。

労働時間や残業ルールをしっかり説明する

会社の労働時間に関するルール(例:残業申請の方法や研修参加の義務など)や、残業申請のやり方を明確に従業員に伝えましょう。曖昧にせず、全員が同じ理解をしていることが大切です。

日常でよくあるケースをまとめました

日常的に起こり得る労働時間の管理ミスを確認してみましょう。

1. 休日の研修参加

休日に行われた研修に参加し、その後にレポートの提出が求められた場合は、その時間は労働時間としてカウントしなければなりません。もしこれに賃金が支払われないと、未払い賃金の問題が発生します。

2. 朝の準備時間

制服に着替えて作業をすることを義務にしている場合、業務開始前にタイムカードを押す前に制服に着替えて作業場を整える時間は、その時間も労働時間に含める必要があります。

3. 自由参加の勉強会

終業後に自主的に参加する勉強会は、労働時間に含まれません。ただし、もし参加が「義務」になっているなら、その時間は労働時間として扱う必要があります。

労働時間管理で大事なポイント!

労働時間を正しく管理し、給与に正確に反映させるために、以下のポイントを押さえておきましょう。

1. 業務指示があったかどうか確認する

研修や勉強会が業務の一環で指示されている場合、その時間は労働時間としてカウントする必要があります。

2. 勤怠管理の透明性を確保する

タイムカードやICカードなどで、労働時間を客観的に記録できるシステムを導入しましょう。従業員自身も自分の労働時間を確認できることが大切です。

3. 労働時間の端数処理も正確に!

15分未満の労働時間も含めて、すべての労働時間を正確に給与計算に反映しましょう。

4. ルールを従業員にしっかり伝える

労働時間や残業申請の手順を、従業員全員にしっかりと説明し、誤解が生じないようにしましょう。

まとめ

労働時間をきちんと管理することは、給与に直結し、従業員からの信頼を得るためにも大切です。適切な賃金を支払うことで、トラブルの予防だけでなく、従業員のやる気や定着率を高める効果も期待できます。安心して働ける環境を整えることで、会社全体の成長にもつながります!

資料はこちらからダウンロードできます。

労働時間を適正に把握し正しく賃金を支払いましょう

労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い