「なんでこのチームは雰囲気がいいんだろう?」
「逆に、なんであの部署はいつもピリピリしてるんだろう…」
そんな職場の空気の違い、実は“偶然”じゃありません。
そこには、脳の中のミラーニューロンという仕組みが関わっています。
ミラーニューロンって何?
ミラーニューロンは1990年代にイタリアの研究者たちが発見しました。
サルがピーナッツを取るときに活動する脳の神経が、他のサルや人がその動作をしているのを見ただけでも活動したのです。
この発見は「人も同じ仕組みを持っているのでは?」という研究につながり、
実際に人間でも他者の行動や表情を見るだけで、自分の脳が同じように反応することがわかりました。
つまりミラーニューロンは、
- 見た行動を脳内で“自分もやったように”再現する細胞
- 感情や行動が人から人へ移る基盤
です。
職場でのミラーニューロンの働き
ミラーニューロンは、職場の人間関係や空気感に直結します。
良い影響も悪い影響も、関係なく移ります。
良い行動の伝染
- リーダーが笑顔で話す → 部下も自然と笑顔に
- 誰かが丁寧に挨拶する → それが職場の“当たり前”になる
悪い行動の伝染
- 上司がため息をつく → チーム全体のやる気が下がる
- 無表情・反応なし → 部下の発言意欲が減る
- 「忙しい、無理だ」が口癖 → 周りも同じ言葉を使い始める
ポイント
ミラーニューロンは良し悪しを判断しません。見たものをそのままコピーします。
リーダーが意識したい3つの行動
職場の空気を良くするには、リーダー自身の行動を意図的に設計することが大切です。
1. 模範行動を“見せる”
- 挨拶の仕方、話の聴き方、仕事の進め方
- 「こうしてほしい」と言葉で伝える前に、自分がやって見せる
2. 感情を“感じさせる”
- 成功談や失敗談は、感情もセットで語る
- 感情表現は共感を生み、行動変容を促す
3. “一緒にやる”体験をつくる
- 会議での意見交換、現場同行、ペアワーク
- 観察だけでなく、共に行うことで行動が定着する
今日からできる簡単な行動
- 朝の挨拶を1トーン明るくしてみる
- 会議で相槌をひとつ多く打ってみる
- あえて余裕のある動作を意識してみる
こうした小さな行動でも、周囲の反応は少しずつ変わります。
これは未来を育む職場の土台になります。
ミラーニューロン活用のメリット
- 言葉より行動で伝えられる
- 職場文化が自然に育つ
- 人材育成がスムーズになる
- 離職防止・定着率向上にもつながる
「見せる → やらせる → フィードバックする」流れの最初の一歩が、“見せる”です。
人は、説明よりも実際の行動から多くを学びます。これを脳科学で裏づけるのがミラーニューロンの働きです。
山本五十六の言葉に、こんなものがあります。
褒めてやらねば、人は動かじ。
この「やってみせ」がなければ、次の「言って聞かせて」「させてみて」も機能しません。
まずは背中で見せる――その瞬間から、相手の脳内では“同じ行動を取る準備”が始まっています。
だからこそ、リーダーが最初にすべきは「見せること」。
これを押さえるだけで、部下やチームの学びの吸収スピードは確実に上がります。
注意点 ― ネガティブも移る
ミラーニューロンは中立的です。
ネガティブな態度や不適切な行動も同じように伝染します。
- 叱責ばかりの会議 → 部下同士のやり取りも攻撃的になる
- 無関心な態度 → 「関心を持たなくていい」が職場の空気に
だからこそ、リーダーは「何を見せているか」を常に意識する必要があります。
明日の職場は、今日の一歩から
良い職場の未来は、日々の小さな行動の積み重ねで形づくられます。
ミラーニューロンは、背中で語るリーダーシップの科学的な裏付けです。
今日から意識的に行動を選び、未来を変えるきっかけをつくってみませんか?
まとめ
- ミラーニューロン=見た行動を脳内で再現する細胞
- 職場では良い行動も悪い行動も移る
- リーダーは「見せる・感じさせる・一緒にやる」が効果的
- 小さな行動変化が未来を育む土台になる
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