人生100年時代と言われている昨今。少子高齢化は想定を超えて急速に進んでいます。
人手不足により、人材獲得競争も激化しています。そうなると、いかにして人材を獲得するかを、企業はしっかり人材戦略立てて取り組む必要があります。
その大事な働き手として、高齢者の労働力の必要性は今後高まってくるのではないでしょうか?
今回のブログでは、定年後の継続雇用と無期転換ルールについて解説します。
定年の年齢と継続雇用
各企業においては、就業規則で定年を定めているところがほとんどだと思います。
定年とは、労働者が一定の年齢に達したことを理由として自然退職となる制度をいいます。
自己都合退職や解雇によらず、一定の年齢に達したら雇用関係が終了するわけです。
もちろん、必ずしも定年を規定しないといけないわけではありませんが、規定していなければ、本人からの退職の申し出や解雇等に該当しない限り永遠に働き続けることが出来るわけです。
定年の年齢は60歳以上
この定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上とする必要があります。60歳を下回ることは出来ません。(高年齢者雇用安定法第8条)
さらに、定年の年齢が65歳未満の場合は、
- 「65歳までの定年の引上げ」
- 「65歳までの継続雇用制度の導入」
- 「定年の廃止」
のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を実施する必要があります。(高年齢者雇用安定法第9条)
この3つの措置の中でも多くの企業が導入しているのが「65歳までの継続雇用制度の導入」です。
継続雇用制度とは
「継続雇用制度」とは、定年退職となる従業員を、本人が希望すれば定年後も引き続いて雇用する制度をいいます。
この「継続雇用制度」には再雇用と勤務延長の2種類あります。
- 再雇用・・・定年で一度退職をしたあと、定年までとは異なる雇用形態で再び雇い入れます。例えば、嘱託社員や契約社員として新たに再雇用となります。
- 勤務延長・・・定年到達した従業員を退職させずに、引き続き雇用します。雇用形態、役職、賃金、仕事内容などの労働条件も大きく変わることなく、勤務期間だけ延長されるのが一般的です。
企業の状況や、定年後の本人の体力や能力等を考慮して労働条件を柔軟に変えやすい点では再雇用が運用しやすいかもしれません。
ただ、仕事の内容や責任度合いは同じなのに、給与だけ下げるといったことは、同一労働同一賃金の観点からして行うべきではありません。本人の希望と企業の提示とが合わない場合は、モチベーションの低下や不満につながることも考えられますので、事前にしっかりと話しをしておきましょう。
どちらを採用しても構いませんが、継続制度には2種類あり、その違いを理解しておきましょう。
定年退職者に無期転換ルールが適用されたら?
ではここで、平成25年4月1日以降に開始した有期労働契約が無期転換ルールと定年退職後再雇用について考えてみましょう。
無期転換ルール
無期転換ルールとは、 有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールです。
無期ですから、自己退職や解雇等に該当しない限り、働き続けることが出来ます。
定年退職者を再雇用する場合は有期契約で雇用する場合が多いと思います。
では、定年後再雇用した従業員が有期労働契約が更新されて通算5年を超えて、本人が無期労働契約を申し込んだらまた、正社員時と同じようにまた無期雇用になります。
あれ?定年で退職したのに、また無期契約になるの??って思いませんか?
でも、法律上はそうなります。それってちょっとどうなのよ、という声が聞こえてしまいそうです。
安心して下さい。方法はあります。
継続雇用の高齢者に対する特例があります。
継続雇用の高齢者に対する特例
継続雇用の高齢者に対する特例とは、
- 適切な雇用管理に関する計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受けた事業主の下で、
- 定年に達した後、引き続いて雇用される有期雇用労働者(継続雇用の高齢者)
については、無期転換申込権が発生しないとする特例が設けられています。
この特例の認定後であれば、定年後の再雇用従業員に無期転換ルールに該当しても対象外とすることが出来ます。
一方、認定を受ける前に無期転換への申込権が発生している定年後の再雇用従業員には適用されませんので、無期雇用の申込権が発生します。
ですから、該当しそうな従業員がいる場合は早めに申請しておきましょう。
認定手続き
認定を受けるには「第二種計画認定・変更申請書」に添付書類を添えて各都道府県労働局に提出します。
申請書および添付書類を各2部作成します。
認定には2週間から1ヶ月程度かかります。
申請は郵送でも可能です。また、認定書を送付する場合の返信用封筒が必要になる場合があります。詳細については、申請前に各都道府県労働局にお問い合わせ下さい。
<参考資料>
出所:厚生労働省|無期転換ルールの継続雇用の高齢者に関する特例について(リーフレット)
まとめ
人口減少、少子高齢化により人材獲得競争は激化しています。
そんな中にあっては、経験豊富な高齢者は貴重な労働力になります。
定年退職後の再雇用の運用方法や、無期転換ルールの特例を理解して、あなたの会社に合い、そして従業員もモチベーション高く働いてもらえるようにしましょう。
弊所では、定年や無期転換ルールに関する規定の仕方や運用方法に関する相談を承っています。
どうぞお気軽にご相談下さい。