お正月といえば、風物詩ともいえる箱根駅伝を見るのが私は大好きです。
今年は、青山学院が圧倒的な強さを見せつけ、大会記録を更新し優勝しましたね。
優勝インタビューで、青山学院の原晋監督は、「自立」と「自律」という言葉を使っていました。
そこで、今回はこれからの組織の在り方について考察してみたいと思います。
2つのタイプの組織
青山学院の原監督は、「そのメソッドの通り自立してしっかり取り組めば伸びるんですけど、それだけではなくて自分で律する、その『自律』。自ら考え行動し、課題に向き合って前に進む姿勢、そういったものが青山学院にはできあがったのかなというふうに感じます」と。インタビューで語っていました。
さすが、原監督って時代を捉えている方だなあ、と思って聞いていました。
「自律」の意味を調べてみました。
他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること。
引用:デジタル大辞泉
つまり、自分で考えて、自分で決めて、自分で行動をする、ということではないでしょうか。
組織には大きく分けると「階層型組織」と「自走型組織」がありますね。
「階層型組織」とは
「階層型組織」はわかりやすく言うと「俺についてこい!」といったリーダーがいて、部下はその指示に従って行動する、といった感じでしょうか。
昔はこのタイプの組織が多かったと思いますし、それでうまくいっていたと思います。
私も、以前管理職をしていた時はこのタイプで、部下に指示だしして、指示通りに動いてくれる部下を評価していたように思います。
ですから、階層型組織だったってことですね。それで、特に問題になることもなければ、生産性もそれなりに上がっていたように思います。
「自走型組織」とは
一方「自走型組織」は、基本的は方針やポリシーといった大きな方向性や会社が目指す理念を上司が伝えると、部下はその大きな方向性の中で、ポリシーの沿って、その場の状況に応じた判断をし部下自身で考えて行動するといった組織ですね。
現在はVUCAの時代ってよく言われますね。
- V(Volatility:変動性)
- U(Uncertainty:不確実性)
- C(Complexity:複雑性)
- A(Ambiguity:曖昧性)
以上の4つの頭文字をとった造語です。
先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態を意味します。
では、これからの時代、必要な組織とはどんな組織でしょうか?
これからの時代に必要な組織とは?
こんな時代に、言われたとおりにしか動けない組織は、これからの時代に対応できるでしょうか?
例えば、取引先で思いがけないトラブルが発生したとします。
そのトラブルの対応はマニュアルの中にありません。
でも、相手は早急な対応を求めていて、緊急案件だったにもかかわらず、その場で対応はせず、一旦持ちかえって上司の指示をもらって対応をしました。
一方、自分で考えて行動することができる会社では、その場で社員が考えて判断し、取引先にとって最善と思う対応をしました。
あなたがもし、このような対応を受けたとしたら、どちらの会社と一緒に仕事をしたいと思うでしょうか?
これからは、先ほど言ったように先行き不透明で将来の予測は不透明、そして変化のスピードも速い。
そんな時代に、言われたとおりにしかできない、言われないとできない組織では、これからの世の中に対応できるでしょうか?
冒頭に書いた箱根駅伝では、一人が20㎞余りを走ります。
その間、色んな事が発生します。飛ばしすぎてちょっと疲れた。この坂では少し突っ込んでいかないとこの後がしんどくなる、ちょっと足が張るようになった足の動きを調整しないと、その場その場に応じた判断が必要になります。
ビジネスも同じです、想定しないいろんな問題やトラブルが発生します。
そんな時、上司からの指示が無いと動けないようでは、これからの時代に生き残っていくには厳しいのではないのでしょうか。
この判断力を養って自分で行動できるようにするには、リーダーはメンバーにどのようなかかわり方をすればいいのでしょうか?
自走型組織を作るために大事なこと
部下が相談してきたら、スグに問題解決の方法を教えないことです。
「なぜ?」と問いかけをして、本人に考えさせて解決策を自分で出せるようサポートをすることだと思います。
スグに答えを教えた方が、早いかもしれません。(緊急時はそういった必要な場合ももちろんありますね。)
ですが、そこは辛抱強く時間をかけて、本人から解決策が出てくるようにサポートするのです。
時には、失敗もするでしょう。それも込みで本人が導き出した解決策を実行させてみるのです。
階層型組織だと、失敗した時に、なぜ失敗したんだ!と頭ごなしに叱ることが多いように思います。
すると、もう部下は自分で考えて行動することを躊躇するようになります。
なぜ失敗したのか、しっかり振り返って、原因を解明し、どうすればよかったのかも、部下に考えてもらいましょう。
ここでも、こちらから原因を伝えてはいけません。部下に考えてもらいましょう。
また、自分で考えて意見を出す場を設けることも必要です。
ミーティングの場では、上司は出来るだけ話す時間を控え、部下に発言してもらえるように持っていきましょう。
前に勤めていた職場で毎週定例ミーティングを行っていました。
「何か気づいたことや意見はありますか?」といっても、発言する人はほぼいません。
ですが、一人ずつ質問を振っていくと、発言するんですよね?
こんな時、どんな発言であっても絶対に否定しないことです。
良いですね、と言ってその内容を褒めるようにします。そうすると周りの社員も、そういう発言でもいいんだ、ということで少しずつ発言が増えてきます。
現状、階層型の組織ですと、すぐに自走型に転換するのは難しいし、時間がかかるでしょう。
でも、まずは、リーダーのあなたが意識を変えて、関わり方を変えていくと、いずれ組織は変わります。
辛抱強く取り組んでみましょう。